ジャガーとFortescue Zero Racingは9月18日、複数年の車両供給提携を発表した。新たなカスタマーチームは2026/27シーズンにジャガーのGEN4マシンを使用する計画だ。ジャガーの発表によると、供給陣営はワークスとエンビジョンの2チームから3チーム6台へ拡大する。フォーテスキュー・ゼロも同時にペンスキーのFE運営事業の買収を発表し、技術供給者から参戦チームへ進む基盤を築いた。
既存事業を取得 参戦にはなお承認が必要
フォーテスキューとFE公式サイトの同日発表はいずれも、新チームが2026/27シーズンからの参戦を予定し、FE運営主体(FEO)とFIAの承認を必要とすると明記している。既存事業の買収、ジャガーの車両供給の選択、参戦承認の取得は、関連しながらも別の段階だ。今回の買収はペンスキー事業の引き継ぎ先と技術の方向を示すが、選手権全体の参加チーム数を一つ増やす根拠にはならない。
フォーテスキュー・ゼロは既にFEの技術供給に関わり、ジャガーと技術提携を行ってきたほか、2024/25および2025/26シーズンのPIT BOOST急速充電システムの供給者でもある。グループの成長・エネルギー事業CEO、ガス・ピチョット(Gus Pichot)は発表で、グリッドに加わることはモータースポーツ事業の新段階であり、レースを通して他産業でも使える技術の開発・検証を続けたいと述べた。これまでの供給経験はチーム運営へ踏み出す背景を説明するが、新しい役割での参戦準備はなお必要になる。
GEN4で広がるシステム全体の開発範囲
ジャガーが挙げるGEN4の特徴には、常時アクティブ四輪駆動、最大600キロワットの出力、700キロワットの制動エネルギー回生能力がある。FIAの2025年11月5日付新車発表資料では、決勝のピーク出力は450キロワット、アタックモードでは600キロワットに達すると区別している。600キロワットは特定モードでの能力であり、レース全体を通して維持する出力ではない。
ジャガーのメーカー開発範囲は、モーター、インバーター、ギアボックス、リアサスペンション、アクティブ・リアディファレンシャル、冷却システム、ドライブシャフト、電気配線、ソフトウエアと制御システムに及ぶ。GEN4ではさらに、前後のブレーキ・バイ・ワイヤとDCコンバーターシステムも開発対象に加わる。カスタマーチームが採用する技術の関係は、駆動、減速時の回生、制御という複数の領域へ広がる。

ジャガーは発表の背景説明で、コストを抑えるため、カーボンファイバー製シャシーとバッテリーは全チーム共通の供給部品だと明記した。メーカーは、より効率が高く軽量なパワートレインへ研究開発を集中させ、カスタマーチームはこの共通の土台の上でジャガーの技術を使う。
ジャガー供給陣営に6台
ジャガーは、ワークス、エンビジョン、Fortescue Zero Racingの6台すべてが、ジャガーのマニュファクチャラーズ世界選手権ポイント獲得に寄与できると確認した。チーム代表のイアン・ジェームズは、新提携をFEでのジャガーの規模を拡大し、電動車技術の開発を続ける機会と捉えている。発表に記されたシーズン13の開幕予定は2026年12月18日のジェッダであり、供給契約の後には新車開発、テスト、各チームの運営準備を完了する必要がある。
INKA SPORTS 分析:ピーク値に加え、制御とエネルギー利用を見る
FIAのGEN4技術規則では、一つのブレーキペダルが前後の油圧ブレーキと前後モーターの回生という四つの回路を制御し、ドライバーの減速指示が優先されなければならない。したがって、カスタマーチームの検証はピーク出力だけでは足りない。ペダル操作を一貫した減速の応答へ変えるには、ブレーキ制御、回生戦略、シャシー設定が協調する必要がある。フォーテスキュー・ゼロには急速充電技術の経験があるが、新車のブレーキ性能や作動の安定性はテストで確かめなければならない。
450、600、700キロワットは、それぞれ異なる作動条件を表す。前の二つは駆動出力、700キロワットは制動時の回生出力だ。1周で実際に回収できる電力量は、回生の継続時間と作動条件にも左右される。GEN4提携の効果を評価するには、ピーク仕様に加え、各チームがレース距離を通じて安定してエネルギーを使えるかを見る必要がある。回生出力が駆動出力を上回ることだけでは、1周の省エネルギー効果やラップタイム向上を算出できない。
まとめ
フォーテスキュー・ゼロがペンスキー事業を引き継ぎ、ジャガーのGEN4供給を選んだことで、ジャガーには3チーム6台の提携計画が生まれた。参戦承認、開発範囲内のシステム適合、供給者としての経験をチーム運営へつなげることは、計画を正式なレース参加へ進める上でなお必要な仕事である。