2026年のトヨタGR Yaris Rally1のグラベルラリー資料写真、ポルトガル・ラウンドで撮影

2026年世界ラリー選手権第8戦アクロポリス・ラリー・ギリシャは、6月25~28日に開催される予定だ。サービスパークはコリントス運河に近いルートラキへ移り、同地がWRCラウンドの拠点となるのは2013年以来となる。日本ラウンドの狭いターマックの山岳路とは対照的に、ギリシャでは高温、浮き砂利、むき出しの岩がタイヤとマシンを試す。このラリーは、今季のグラベル7連戦の幕開けでもある。6月の大会はアテネ市内のスーパースペシャルステージで開幕し、その後は海路で移動して、競技の中心をギリシャ中部とペロポネソス半島へ移す。

日本ラウンド終了時点で、トヨタの主力ドライバー5人がドライバーズ選手権の上位5位を占めている。エバンスが151ポイントで首位に立ち、勝田貴元に20ポイント差をつけ、ソルベルグ、パヤリ、オジエが続く。トヨタはマニュファクチャラーズ選手権でもヒョンデを127ポイントリードしているが、このポイント差がクルーに代わってギリシャのステージ上の砂利を掃いてくれるわけではない。エバンスは金曜日のグラベルステージで先頭走者になると見込まれ、表面の浮き砂利が先行車によって取り除かれていない状態で走ることになる。出走順が早い状況でのタイヤのグリップとライン選択が、選手権での優位を守れるかどうかに直結する。

オジエは2011年にアクロポリス・ラリーを制し、昨年ここに戻ってきた際には2位に入った。今季はスポット参戦ながら、これまでの6度の出場でも優勝を争う力を維持している。ギリシャでの出走順は、トヨタ勢のなかではエバンスより後方となり、路面を掃く負担をいくらか軽減できる可能性がある。ただし、出走が遅ければ先行車が掘ったわだちや露出した石にも遭遇する。序盤の路面上の優位性は実際のステージタイムで確かめる必要があり、ラリー前から勝利の保証と見なすことはできない。

2026年のトヨタのドライバー、オジエとコ・ドライバーのランデの公式クルー写真

ケニアとクロアチアで自身のWRC初優勝と2勝目を記録した勝田貴元は、地元日本ラウンドで4位に入り、ランキング2位を維持している。ギリシャでの課題は、エバンスとの20ポイント差を縮めることに加え、厳しい路面でタイヤの損傷を抑えることだ。ソルベルグは昨年、このラリーのWRC2クラスを制しており、今年は初めてRally1マシンで同じ大会に挑む。日本ラウンドの土曜日にクラッシュしただけに、速さを継続的な完走につなげることがとりわけ重要になる。パヤリはここ数戦で何度も表彰台に上がり、ポルトガルと日本でもステージ単位の速さを示したが、ギリシャの高温と岩の多い路面では、堅実なドライビングにも同じように価値がある。

ヒョンデ勢では、ポルトガル・ラウンドを制したヌービルがグラベルでの競争力を維持したいところだ。フルモーも、暑さが厳しく路面の変化が大きい金曜日の長丁場でチャンスを探る。ソルドは3台目のヒョンデRally1マシンで参戦する。Mスポーツ・フォードはマクアリーン、アームストロング、セスクスを起用し、さらにセルデリディスもフォードのRally1マシンで出場する。これにより、今大会の最上位クラスは12台となり、今季ここまでで最多のRally1参戦台数となる。参戦車両が増えることで、出走位置による路面状況の違いやトラブルのリスクが、より注目すべき要素となる。

木曜日の夜には、アテネのエリニコン地区で2台が並んでスタートするスーパースペシャルステージが行われる。距離は短いものの、正式なタイム計測が行われるステージであり、単なるスタートセレモニーではない。終了後、マシンとクルーはコリントス湾をフェリーで移動してイテアへ向かい、ギリシャ中部の6ステージ、合計129.22kmを走る最長の競技日となる金曜日に備える。昼のサービスはリヴァディアのリモートサービスのみで、故障後に対処できる余地は限られる。土曜日はルートラキの西に位置するペロポネソス半島の山岳路へ舞台を移し、日曜日は2つのステージをそれぞれ2回走行する。最後のルートラキの2回目の走行は、パワーステージも兼ねる。

アクロポリス・ラリーの難しさは、「マシンが速く走れるかどうか」だけではない。高温下でのハードタイヤの作動状態、鋭い石によるスローパンクチャー、1回目の走行での路面清掃、2回目の走行で形成されるわだちは、それぞれ異なるクルーに影響を及ぼす。フェリーでの移動もあり、日程は通常の陸路で移動するラウンドとは異なる。エバンスにとっては、まず金曜日の長丁場をしのぎ、その後に日曜日の追加ポイントを狙うほうが、開幕の短いステージで数秒を稼ぐことだけを目指すよりも戦略的な意味が大きい。一方、ポイント差を縮めたいオジエとヌービルは、マシンを壊すリスクが随所にあるなかで、早い段階からマシンに過大な負担をかけることを避けなければならない。