10月9日のシンガポール・スプリント予選でメルセデスは2位と7位を得たが、新たなアップグレードの検証を終えたわけではない。ジョージ・ラッセルは以前のバクー仕様を使い、キミ・アントネッリは最近のアップグレードの主要部分を維持した。第3段階での両者の最速タイム差は0.573秒。走行後、ドライバーと技術陣はマシンの応答と走りの自信に、より具体的に焦点を当て始めた。
旧仕様は順調な出だし、新仕様は好ラップをまとめるのに苦労
ラッセルは1分31秒276で2位となり、フェルスタッペンとの差は0.120秒。アントネッリは1分31秒849で7位だった。ラッセルは今週末唯一のフリー走行でも首位に立ち、アントネッリはそこでも7位だった。2つの仕様が残した金曜の結果は、比較を続ける出発点をチームに与えた。
メルセデスが大会前に仕様を分けて試すと決めたのは、セパン大会で投入したアップグレードの効果がまだ明らかでなかったためだ。F1公式の走行後まとめには、アントネッリがフリー走行1回目後に旧型フロントウイングへ戻したことも記されている。したがって、スプリント予選で比較されたのは、その時点での両車の実際の総合仕様であり、大会前の新部品をすべてそのまま使った単独項目のテストではない。
アントネッリはF1の走行後インタビューで、フリー走行1回目から苦戦し、マシンの挙動を予測しにくく、1周を通してまとめるのが非常に難しかったと説明した。大きな期待を抱いてシンガポールに来たものの、金曜には必要な感触を得られなかったという。エンジニアとデータを確認するとともに、自身のドライビングも改善していきたいとした。
ショブリンはブレーキングと進入時の自信に注目
トラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、走行後のコメントで、両車ともバランスは完全に理想的ではなく、アントネッリはブレーキングとコーナー進入でより自信を欠いていたと述べた。この市街地コースでは、その自信が予選アタックで積極的に攻められるかに関わるため、チームは差の原因を理解する必要がある。

一方、ラッセルはF1のインタビューで、旧仕様が少なくとも悪くないことは証明されたと語った。新仕様が無効だと断定したわけではなく、チームにはまだ効果がないと証明できる結論はないものの、計時結果はこれまで新パッケージに望ましい評価を与えていないと指摘した。
パワーユニット部品交換によるラッセルの日曜の最後尾スタート処分はグランプリ決勝に適用され、土曜スプリントの2番グリッドには影響しない。土曜のスプリント後にはグランプリ予選も行われ、日曜の実際のスタート順位はその予選結果と適用される処分によって決まる。
INKA SPORTS 分析:差は明確でも、部品の寄与はさらに切り分けが必要
0.573秒は両ドライバーの最速ラップ同士の実際の差だ。アントネッリとショブリンの説明と合わせれば、チームはブレーキングと進入時の予測可能性を優先して改善する必要がある。次にマシンがどう反応するか分かりにくければ、市街地の重要な1周で能力を十分に引き出すことも難しくなる。比較には異なるドライバーと総合仕様が関わっており、0.573秒は完成した2つのラップの差を表すもので、フロントウイング単体の利得を測定できる数字ではない。
アントネッリが旧型ウイングへ戻しても難しさを感じていたことにより、比較すべき対象はさらに具体的になる。チームはアップグレード全体とセットアップがどうかみ合うかを理解しなければならない。今後、近い路面条件と同種のタイヤで彼がより良いタイムを続けて記録し、同時にブレーキングへの自信を取り戻せれば、調整の方向が有効だとする根拠になる。
まとめ
メルセデスは金曜にラッセルの競争力を確認するとともに、新仕様で解決すべき問題をより具体的に把握した。今後はアントネッリがマシンの反応を予測しやすくすることと、継続的な走りによって調整の効果を確かめることが必要になる。