2026年メキシコGPの週末、チームのピットウォール前を通過するアストンマーティンのマシン

アストンマーティンはメキシコGPで2台ともリタイアし、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールの記録はいずれも5周にとどまった。ホンダの説明では、高地でのエネルギー回生システムの冷却負荷が焦点となっている。ドライバーの走らせ方を変え、早期ピットインで前方に他車のいない空間を確保しようとしても、2台はレースを続けられなかった。

ホンダ公式サイトのレース後報告で、トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、メキシコシティーで冷却の課題が増えることは予想していたものの、ERSの冷却回路には想定以上の負荷がかかったと説明した。ERSはエネルギー回生システムを指す。F1公式サイトが11月4日に掲載した続報では、特定の運転条件で問題が発生したという説明も紹介されている。

フリー走行では84周、予選と決勝で再び問題

アロンソは3回のフリー走行で計84周を走り、マシンが継続して走行できる場面はあった。しかし予選では、Q1で1回のアタック走行を終えた後、MGU-Kの冷却問題によって停止を指示された。MGU-Kは制動時のエネルギーを回収し、電力で駆動を補助するモーターだ。決勝前に関連部品を交換しても、問題の再発は防げなかった。

ホンダのレース報告によると、決勝序盤には両ドライバーが早めにアクセルを戻して惰性走行し、低速コーナーでのギヤの使い方を変え、前車との間隔を広げるよう指示された。2台は3周目終了時にピットへ入り、別のソフトタイヤに交換した。チームはストロールに、車列の中でクリーンエアを得られないと状況が厳しくなると説明しており、早いピットインには冷却負荷を軽減する狙いもあった。

2026年メキシコGPの週末、18号車のアストンマーティンを走らせるランス・ストロール

冷却を狙う早期ピットイン後も走行を断念

それでも2台は走り続けられなかった。アロンソはその後ピットへ呼び戻されてリタイアし、ストロールにはバッテリーの損傷を避けるため、コース上で停止するよう指示が出た。最終的な周回数はいずれも5周だった。アストンマーティンの公式総括も、パワーユニットのシステム内で異常な圧力が発生し、レースを早々に終えたと記している。

F1公式サイトの続報で折原は、通常のレース走行の多くは管理できても、特定の条件ではERS制御やドライバビリティーに弱点が現れると説明した。これらをファクトリーに持ち帰るべき学びとしている。アロンソにとっては、フリー走行で多くの周回を重ねながら、予選と決勝を十分に走れなかった落差が、この週末で最も悔しい点だった。

INKA SPORTS 分析と総括:特殊な運転条件まで信頼性を検証する必要性

今回のダブルリタイアは、練習での走行距離とレースの信頼性をそれぞれ評価する必要性を示している。84周は、それまでに経験した条件でマシンが走行できたことを示す証拠になる。予選と決勝で繰り返された故障は、その走行実績が通用する範囲の限界をさらに示した。早めのアクセルオフ、車間の拡大、早期ピットインを行ってもリタイアした事実から、その時点でコース上で取れる対処では解決に至らなかったと分かる。

アストンマーティンには、フリー走行で示した走行能力を、予選と決勝を通じて持続させる必要がある。メキシコで残された具体的な課題は、多くの通常周回では表面化しにくくても、レースを中断させる冷却上の条件を特定し、対処することだ。ホンダは完全な発生条件や対策の検証結果を公表しておらず、今後の改善は次戦以降の信頼性とチームの説明に基づいて判断する必要がある。