2025年F1 Academy王者のドリアーヌ・ピンは、今後5年の目標をF1のレギュラーシート獲得に定めている。Motorsport.comによると、22歳のフランス人ドライバーはメルセデスの「In Convo With Kids」で、5年後にどこにいたいかと聞かれ、F1と答えた。自分の昇格が、同じ夢を持つ少女たちに道を開くことも望んでいる。これはドライバー個人の目標であり、チームがそれを受けてレギュラーシートや昇格時期を約束したわけではない。
開発ドライバーの役割と、初のF1テスト
メルセデスは1月、ピンが育成プログラムで2シーズンを過ごした後、2026年の開発ドライバーへ昇格すると発表した。公式に示された業務は、シミュレーターを用いた開発、ファクトリーやサーキットでの活動、一部のグランプリ週末でチームのF1 Academyドライバーを支援することなどだ。4月の追加説明では、ペイトン・ウェストコットへの支援と指導も行うことが明らかにされた。この役割により、ピンは育成カテゴリーでの経験を、次のドライバーを助けるために活用することになる。
4月17日、ピンはシルバーストンのナショナル・サーキットで初のF1テストを実施した。使用したのは2021年シーズンのメルセデスW12だ。チームによると走行は76周、約200キロに達し、メルセデスのF1マシンを運転した初の女性となった。テスト前にはシミュレーターでエンジニアと操作手順を学んでおり、トラックサイド・エンジニアリング・ディレクターのアンドリュー・ショブリンは、その準備とプロとしての姿勢を評価した。ピンは、W12は以前に乗ったマシンより大きく、力強いと表現し、周回を重ねるごとに自信を築いたと話した。
それまでのシングルシーターでの実績も、明確な背景となる。メルセデスの開発ドライバー就任発表では、ピンが2025年のF1 Academyで4勝と、それ以外に4度の表彰台を獲得し、ラスベガスの最終ラウンドでタイトルを決めたと振り返っている。王座獲得後、彼女は育成プログラムから新たなチーム内の役割へ進んだ。F1 Academyでの2年間の経験は、後に続くドライバーを支える基盤にもなっている。

耐久レース、フォーミュラE、そして出場資格
2026年、ピンはデュケーヌからヨーロピアン・ル・マン・シリーズのLMP2 Pro-Amクラスにも参戦し、他メーカーの開発業務も担っている。プジョーの3月の発表では、9X8のシミュレーター開発に参加し、11月のバーレーンWECルーキーテストで実車を走らせる予定が示された。シトロエンは5月、フォーミュラEのGEN4開発プロジェクトに彼女を加えると発表した。ピンはこの発表で、すでにGEN4のシミュレーター作業を始め、マシンのシステムやドライビングの方法を学んでいると述べている。
F1の決勝に出場するには、FIAスーパーライセンスの資格要件を満たし、チームのシートを得る必要がある。2026年6月版の「付則L」には、ライセンス等級、初回申請に必要なシングルシーターの参戦経験やポイントなどの条件が定められており、ポイント表にはF2以外のさまざまなカテゴリーも含まれる。したがってF2は、関連する経験と資格ポイントを積み上げる一般的な経路ではあるが、すべてのドライバーが必ず通らなければならない段階ではない。旧型F1マシンを1度テストしただけで、ピンが申請条件をすべて満たしたと証明することもできない。
INKA SPORTS 分析:複数の開発業務と5年の目標との関係
ピンの現在の進展は、役割ごとに見る必要がある。F1 Academyのタイトルは育成カテゴリーでの実績、シルバーストンでのテストはF1での走行距離、シミュレーターや耐久レースの活動は仕事を続ける機会を与える。これらはキャリアを形づくるが、スーパーライセンスの資格要件の充足やチームのレギュラーシート獲得に代わるものではない。5年の目標がどこまで進んでいるかを判断するには、今後実際に決まる参戦計画、レースでの成績、F1テストの予定を見るべきであり、開発ドライバーという肩書だけから、すでに決まった昇格ルートを導き出すことはできない。
まとめ
ピンは5年以内のF1進出を望むとともに、モータースポーツがより多くの女性に機会をつくることも願っている。Motorsport.comが紹介したインタビューで、彼女が強調したのは自分の将来だけではなく、スポーツの内外における多様性と機会だった。現段階で確認できるのは、獲得済みのF1 Academyタイトル、メルセデスの開発業務、初のW12テスト、そして進行中のほかの活動だ。さらにレギュラーシートへ進めるかどうかは、今後の成績、資格、チームの判断にかかっている。
チームの背景:メルセデスF1チームのプロフィール。