プロジェクト・ラリー・ワン(Project Rally One)は、2027年開幕戦モンテカルロでの2台デビューを目標に掲げている。Motorsport.comが9月18日に掲載した記事によると、ベルギーの独立チームはユイのRally4PassionでWRC新規定に対応するマシンを公開した。エンジニアのリオネル・ハンセン、元FIAラリー部門責任者のイヴ・マトンらが進める計画は実車テストに入っているが、新車の披露と参戦準備の完了は別の段階だ。
750キロのターマックテストを完了 グラベル開発は別途予定
ハンセンによると、チームはフランスで5日間、計750キロのターマックテストを終えたばかりで、ステファン・ルフェーブルとブルーノ・ティリーがドライブした。この段階では信頼性の問題がなく、性能も内部目標を満たしたという。これはプロジェクト責任者による今回のテストの評価であり、同じ条件でワークスマシンと競った結果ではない。
チームは10月のグラベル開発にテーム・スニネンを起用する計画だ。ハンセンは11月1日の車両ホモロゲーション取得を目指し、モンテカルロへの2台投入はなお現実的だとしつつ、残る作業は多いと述べた。開発テストには具体的なドライバーが参加しているが、開幕戦の参戦体制は当時まだ交渉中だった。
独立チームにも門戸 同じ認証要件を満たす必要
FIAは2025年12月17日に計画を発表した際、WRC27の枠組みが初めて独立系の車両開発チームにもコンストラクター資格とホモロゲーションへの道を開き、自動車メーカーと同じ規則で競えるようにすると説明した。ラリー・ワンは新たな枠組みでいち早く公表された計画だ。一方、FIAは正式参戦にはプロジェクトの完成と所定の技術認証の取得が必要だとも明示している。認証は車両が参戦の技術要件を満たすか確認する手続きであり、公開披露で代わりにはならない。
新車のエンジンはフォルクスワーゲン・グループ系で、シュコダ・ファビアRSラリー2のパワーユニットに近い基礎を持ち、WRC27規則とプロジェクトの目標に合わせて大幅に改良されている。車体にはポルシェ風のデザイン要素があるが、ハンセンは同ブランドが技術面でも資金面でも関与していないと明言した。車体の設計・製造はFaster Racingが支援した。外観やエンジンの基礎が、ラリー・ワンを独立チームから自動車メーカーの計画へ変えるわけではない。

人員などの資源配置もデビュー準備の一部だ。スポーティング責任者のアラン・ペナスによると、プロジェクトには21人の常勤スタッフがおり、モンテカルロという目標に向けて短期間で適材適所の配置を進めなければならない。ドライバー体制も引き続き協議中だ。ハンセンは車両開発に約4500時間を費やしたとし、総予算が限られる中、柔軟かつ効率的に作業を進め続ける必要があると述べた。
INKA SPORTS 分析:750キロから2台デビューまでに必要なこと
新規則がまず解決するのは、誰が認証手続きに進めるかという問題だ。独立チームも自動車メーカーと同じ入口を得れば、自らのプロジェクトで車両を開発できる。ただし、同じ認証要件が適用される以上、新勢力にも基準を満たす完成車の提出が求められる。門戸の拡大は参戦の可能性を広げるが、製作とテストはチーム自身が進めなければならない。FIAが条件とした計画の完成と認証取得こそ、2台投入の目標に必要な現実のハードルである。
750キロの記録が答えるのは、現在のターマック段階で継続して走れるかどうかだ。グラベル開発では路面条件が変わり、故障が起きれば原因を調べて対処し、連続走行能力を改めて評価する必要がある。安定した走行が続けば、異なる路面に対応できる証拠が増える。したがって、今後のグラベルでの反応は、既存の走行距離を単純に大きく捉えるより判断材料として有用だ。ハンセンの「性能は期待どおり」という評価もチーム内部の目標に対するものであり、ワークス勢との競争力の序列までは決められない。
2台でのデビューには、車両開発を実際の参戦運営へつなげる作業も伴う。要件を満たす2台の車両、正式なクルー、担当配置を確定する必要があり、開発ドライバーが一度テストしただけでクルーが決まったことにはならない。ペナスが人員配置の緊急性を強調したことは、21人のチームが車両製作だけに取り組んでいるわけではないと示す。認証が完了してもクルーや2台の準備が整わなければ、デビュー目標はまだ達成されない。各準備が並行して進んでこそ、披露した成果をステージのスタートへ近づけられる。
まとめ
ラリー・ワンは、新規則が開いた入口を実車とターマックテストへと進め、2台デビューの基盤を計画発表時より具体的にした。予定どおり参戦できるかは、認証取得、グラベル段階の実際の反応、2台とクルーの準備がつながるかにかかっている。現時点の成果は開発の進展を裏付けるが、デビューやワークス級の競争力を確定事項とする根拠にはならない。