2026年10月8日、シンガポールGPメディアデー。パドックにいるメルセデスのキミ・アントネッリ。

メルセデスは以前、シンガポールでアップグレード前後のマシンを比較すると発表していたが、両ドライバーの具体的な役割が明らかになった。10月8日のメディアデーでラッセルは、バクーで使用した仕様へ戻すと説明。アントネッリはセパンで導入したアップグレードを引き続き使い、シンガポールで新しいフロントウイングを加え、新パッケージをさらに完成へ近づける。

旧仕様へ戻す提案はリタイア前、新ウイングはもう1台へ

F1公式サイトによると、2台のW17はシンガポールの週末に異なる空力パッケージを使用する。セパンの結果だけでは、メルセデスはアップグレードの利得について明確な結論を出せていない。アントネッリは2位を獲得し、ラッセルもリタイア前には表彰台を狙える可能性があったが、チームは新部品が期待したラップタイム向上をもたらしていないと考えている。

ラッセルは重要な時系列を説明した。セパンの日曜決勝前に、すでにシンガポールで比較する提案をしていたという。その後の故障で今週末にパワーユニット関連のグリッド降格処分を受けることになり、もともと議論の余地があった選択が容易になった。

同時にラッセルは、アップグレードが無効だという兆候は現時点でないと強調した。旧仕様でもコースごとにパフォーマンスが変動していた経験を挙げ、1大会の競争力は大きく変わるため、新部品の理解を助けるべく旧仕様へ戻すリスクを引き受けるとした。バクー仕様には明確な使用経験があり、今週の比較基準にできる。

2026年9月26日、アゼルバイジャンGP。ジョージ・ラッセルがメルセデスW17を走らせる。シンガポールでの旧仕様比較に関する報道用資料写真。

一方、アントネッリは、荒れた路面と高温によってセパンが特殊な大会になった可能性があると考えている。シンガポールの良好な路面と低めの温度は、パッケージを再検証するのに適していると感じている。両コースに低速コーナーが多いことも、セパンで露呈した問題の確認に役立つという。今週の比較を通じ、新仕様により合うセットアップを見つけたいとした。

2つの仕様の役割分担

ドライバー シンガポールで採用する仕様 比較での役割
ラッセル バクーで使用したアップグレード前の仕様へ戻す 使用経験のある基準仕様
アントネッリ セパンのアップグレードを維持し、新フロントウイングを追加 より完成度を高めた新パッケージの理解を継続

INKA SPORTS 分析:今回の比較でアップグレードの効果を判断できるか

今回の比較で最も有用なのは、2つの仕様を同じコース、同じ週末で検証できることだ。バクーとセパンの最終順位だけを比較すると、コース、天候、レース展開の変化まで含まれてしまう。2台が並行して異なるパッケージを使えば、それらの差を小さくし、繰り返し現れる性能特性を見つける助けになる。

ただし、アントネッリには新しいフロントウイングも加わるため、比較対象は2つの総合仕様となる。新仕様が速くても、最終的な2人のラップタイム差だけを根拠に、その利得をすべてセパンの特定部品へ帰すことはできない。ドライバーの違い、タイヤ状態、燃料、コースへ出る時機も、チームのデータ分析で扱う必要がある。

まとめ

今回旧仕様へ戻す価値は、新仕様に使える比較基準を設けることにある。近い走行条件で新パッケージが継続的に優位なら、チームにはセットアップの可能性を掘り下げる理由がある。優位性がなお現れなければ、新部品の組み合わせによる効果を再点検する必要がある。