2026年イタリアGPでミハエル・シューマッハのフェラーリF2002を走らせるセバスチャン・ベッテル

セバスチャン・ベッテルは、F1には持続可能性の目標とレーシングカーの魅力を両立させる機会があると考えている。Motorsport.comが9月20日に掲載したインタビューによると、4度の世界王者はイタリアGPの期間中、ミハエル・シューマッハのフェラーリF2002をドライブした。V10マシンを再び体験したことをきっかけに、現行規則と将来のマシンの選択についても語った。

ベッテルは現行規則のドライビング体験をすべて肯定したわけではないが、昔のマシンだけを唯一の基準ともしていない。彼にとってF2002は2002年の最先端技術を体現しており、現在のマシンも同様にその時代の技術水準を示すものだ。性能、精密さ、規律、チームの努力、そして未来への責任は、いずれも彼が重視するF1の価値に含まれている。

燃料がもたらす新たな選択肢

ベッテルは持続可能な燃料を前進の一歩と表現し、その可能性はF1に限らず、ほかの競技にも示唆を与え得ると考えている。同時に、次世代マシンは責任ある形で設計すべきだとも述べた。ある技術が工学的に素晴らしくても、公道用の車に応用できるとは限らないからだ。これは将来の方向性に関する彼の考えであり、完成したパワーユニット案ではない。

F1公式が1月30日に公開した燃料の説明によると、2026年の先進的な持続可能燃料は、炭素回収、都市ごみ、食料用途ではないバイオマスを原料にでき、独立した認証を受ける。同じ説明では、既存のエンジンを変更せずに使える燃料についても紹介し、ベッテルが以前ウィリアムズFW14Bなどの歴史的なマシンを走らせ、持続可能な燃料を実演した例を挙げている。

2026年のモンツァでの記念イベント会場にいるセバスチャン・ベッテル(資料写真)

将来のV8という方向性と、詳細の確定は別

その後、9月24日のアゼルバイジャンGPの記者会見で、アウディのマッティア・ビノットは、V8へ進む方向は明確で、早ければ2030年に導入できるものの、将来のパワーユニット構想にはまだ明確な詳細が不足していると述べた。その時期に実施するには、年末までに規則で合意し、採決する必要があるという。ハイブリッドなどの具体的な内容は、なおFIAとの協議が必要だとの見方を示した。FIAが公表したこの質疑応答は、方向性についての合意と、設計を始められる完全な規則を区別している。

INKA SPORTS 分析:燃料の選択だけでは運転体験の答えにならない理由

歴史的なマシンを持続可能な燃料で走らせた既存の実演は、議論の具体例となる。燃料の供給源を変えることと、なじみのあるマシンの形を残すことは同時に行える。ただし燃料の由来や認証が答えるのは、ドライバーが次世代パワーユニットをどう使うかという問いではない。古いマシンを動かせることと、現代のF1で理想的なドライビング感覚を得ることは、異なる層の証拠であり、前者から後者がすでに実現したと直接示すことはできない。

ビノットの9月24日の回答は、2つの議論が異なる進行段階にあり得ることをさらに示している。燃料にはすでに活用例がある一方、将来のパワーユニットのハイブリッドなどの詳細は協議中だ。ベッテルが示したのは体験と責任を両立する目標であり、完全なパワーユニット設計ではない。歴史的マシンの実演は組み合わせが可能だと示せるが、未確定の規則に代わるものでも、将来のマシンがすでに目標に達したと証明するものでもない。

まとめ

ベッテルの提案は、いくつかのF1の価値を同じ設計の議論に含めることだ。レーシングカーの魅力を保ちつつ、未来にも真剣に向き合う。持続可能な燃料を使った既存の実演は、新しい燃料の供給源と、なじみのあるマシンの形を組み合わせる余地があることを示す。両立できる設計を探り続ける根拠にはなるが、次世代F1のドライビング感覚を保証するものではない。