Motorsport.comの9月19日の報道によると、元アルピーヌ代表のオットマー・サフナウアーはポッドキャスト「High Performance Racing」で、トト・ウォルフがキミ・アントネッリを昇格させた判断を評価し、そのリスクを引き受けたことは称賛に値すると述べた。アントネッリの発掘に関わったグウェン・ラグルーにも言及した。F1参戦2年目のアントネッリはすでにグランプリ8勝を挙げ、チームメイトのジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけている。この成績によって、メルセデスの当時の人選が再び注目を集めている。
ハミルトンが2025年にフェラーリへ移籍すると決めたことで、メルセデスは後任を探す必要が生じた。チームが最終的に選んだのは、アントネッリをF2から直接昇格させ、2025年にラッセルと組ませることだった。先に別のF1チームで実戦経験を積ませる形は取らなかった。サフナウアーが評価しているのは、若いドライバーにメルセデスのレギュラードライバーの責任を直接担わせることを、ウォルフが決断した点だ。
育成とテストからレギュラーシートへ
メルセデスが当時発表した2025年のラインアップに関する公式声明には、この判断に至る育成の背景が示されている。アントネッリは2019年、12歳で育成プログラムに加入。その後、2022年にドイツとイタリアのF4タイトル、2023年にフォーミュラ・リージョナル欧州選手権のタイトルを獲得し、2024年にF2へ進んだ。ジュニアカテゴリーの成績とテストでの走りは、F1グランプリに出場する前からチームが把握していた判断材料だった。
その声明でウォルフは、アントネッリのその年のF1テストが印象的だったと述べる一方、F1への昇格はなお大きな飛躍であり、チームは学習の過程を支えると認めていた。コンビの構成については、ラッセルが経験を提供できると強調。ラッセルも、ハミルトンから受けた助けをアントネッリに引き継ぎたいと語った。新人への期待と、まだ学ぶ必要があるという現実は、昇格時点から併存していた。
9月20日時点で直近に行われたのは、9月13日のスペインGPだった。F1の公式レースレポートによると、アントネッリはマドリードで今季8勝目を挙げ、ラッセルとの差を81ポイントに広げた。公式カレンダー上で終了した最初の14戦のグランプリ表彰台記録を集計すると、表彰台は計12回となる。ここでの勝利数と表彰台数はいずれもグランプリ決勝を対象とし、スプリントの結果は含めていない。

初優勝の後も続く学習
ただし、初優勝した時点で、ウォルフが若いドライバーの完成を宣言したわけではない。F1公式サイトの3月15日の中国GP後の報道では、アントネッリが初優勝を果たし、ウォルフは予想よりも進歩が速いと評価しながら、今後もミスは起こると指摘した。この週末、アントネッリはスプリントの1周目の接触で10秒ペナルティを受けていた。決勝の勝利と同じ週末のミスは、速さとレース経験が一度にそろうわけではないことを示している。
Motorsport.comは、中国GP優勝後にウォルフが無線で「若すぎる」といった以前の疑問の声を皮肉った場面も振り返っている。ウォルフはその後、1度勝てば評価は好転するが、次のレースでミスをすれば再び疑問の声が上がり得るため、冷静さが必要だと説明した。これはドライバー起用に対する外部の評価の変化に応じた言葉であり、1勝を育成全体の完了と捉えたものではなかった。
INKA SPORTS 分析:成績という見返りは昇格のリスクをどう検証するのか
この昇格を評価するには、チームが決断時点で何を知っていたかと、その後のレースが何を証明したかを分ける必要がある。ジュニアのタイトルとF1テストは速さの潜在能力を判断する根拠となるが、シーズンを通じてスタート、ペナルティ、タイトル争いの重圧に対処する実戦経験を与えるものではない。ラッセルはウイリアムズで3シーズンを戦ってからメルセデス入りした。アントネッリは直接メルセデスのシートを得たことで、F1経験を積む段階をファクトリーチームの公式戦の中で過ごすことになった。これが当時の具体的なリスクだった。
現時点の成果を評価する上では、8勝と14戦で12回の表彰台は、中国GPでの初優勝1回よりも説得力がある。複数の週末に結果を繰り返しているためだ。それはサフナウアーによる昇格の成果への評価を支える。ただし、だからといって当時、新人のミスによる代償を引き受ける必要がなかったことにはならず、マシン、戦略、ドライバーが共同で得た成績のすべてを一度の人選に帰することもできない。今後もアントネッリが速さを安定した完走とポイントに結び付けられるかが、この成果の継続性を確かめる具体的な観点となる。
まとめ
サフナウアーの評価には現在の成績という裏付けがある。直接昇格した若手は、F1での2シーズン目に複数回優勝し、選手権をリードしている。公式声明からは、チームが当初からテストと育成カテゴリーでの走りを重視しつつ、学ぶ過程にも余地を残していたことが分かる。次のアゼルバイジャンGPは9月24日から26日に予定されている。現段階の81ポイント差はすでに得た成果を示すが、年間王者の行方は今後のレースに委ねられる。