アウディのガブリエル・ボルトレトとBPの技術チームの集合写真

F1公式サイトが9月19日に公開した特集によると、アウディと技術パートナーのBPは2026年シーズン開幕前に70種類の燃料成分を評価し、400点の試験サンプルを製作した。さらに、アウディの新しいパワーユニットで200種類の配合をテストし、ドイツのノイブルクにある開発施設へ24万リットルの試験用燃料を供給した。これらの数字は新燃料がレースに投入されるまでの開発規模を示すが、アウディにとって開幕戦は配合開発の終点ではなかった。

F1は2026年から先進的な持続可能燃料を使用し、原料には回収した炭素、都市ごみ、非食用バイオマスなどを利用できる。BPでモータースポーツ向け流体技術を担当するリュック・ジョリー(Luc Jolly、役職はMotorsports Technology Fluid Lead)は同特集で、従来使い慣れていた化石由来の成分をそのまま使うことはできず、新燃料の原料に関する要件と、アウディの新エンジンとの適合を同時に解決する必要があると説明した。

燃料とエンジンを一体で開発

この適合作業はチームの参戦前から始まっていた。アウディが2024年7月15日にBPとの提携を発表した際、パワーユニット部門の責任者アダム・ベイカーは、両者が2022年末に燃料テストを開始したと述べ、燃焼過程は燃料の特性を踏まえてエンジンとともに最適化する必要があると強調した。発表では提携内容も区別されており、BPが燃料を担当し、Castrolは内燃機関と電気部品向けの潤滑油や関連する油液を開発するとされていた。

ジョリーはF1公式サイトのインタビューで、性能と信頼性の両立を中心的な課題に挙げた。F1はシーズン中に使用できるパワーユニット部品の数を制限しているため、サプライヤーは性能を引き出すと同時に、十分な信頼性の余裕も確保しなければならない。新規則の初年度にはなお最適化の余地があり、配合とエンジンの組み合わせを継続して発展させる必要があると考えている。

アウディの2026年F1マシンに掲げられたCastrolのロゴ

サーキットからの情報と翌年の規則

サーキットからのフィードバックは、次の開発に向けた材料となる。ボルトレトは同特集で、自分の役割は走行中に感じたエンジンの挙動をエンジニアに伝えることであり、研究室に直接出向いて配合の変更を求めるわけではないと説明した。ジョリーによると、ドライバーや現場のエンジニアからの情報は、サプライヤーの最適化作業に反映される。研究室の候補配合とマシンでの実際の使用との間で、継続的に情報が行き来する仕組みだ。

開発は翌年の作動条件の変化にも対応する必要がある。FIAは2026年6月23日、世界モータースポーツ評議会が2027年から2028年にかけて内燃機関とエネルギー回生システムの寄与を再調整する変更を承認したと発表しており、そこには燃料のエネルギー流量も含まれる。ジョリーは9月のインタビューで、燃料流量が増えるとエンジン内部の作動過程が変わり、新たな配合開発の機会が生まれると述べた。単に燃料の供給量を増やすだけの作業ではない。

INKA SPORTS 分析:200種類を試しても開発が続く理由

200種類の配合テストが対象としたのは、燃料と特定のエンジン、その作動条件の組み合わせだ。アウディとの初期の共同テストでは、新エンジンと新燃料をどう組み合わせるかを検討した。参戦後は実際のドライビングから、使用状況に関する情報が開発チームへ加わる。両者は情報源が異なり、開幕前のテストを終えても、その後のサーキットでのフィードバックの代わりにはならない。翌年に燃料のエネルギー流量の条件が変われば、既存の組み合わせも再検証が必要となり、配合開発は継続的な適合作業となる。

したがって、今後の改良の価値は候補配合の数がどれだけ増えたかだけでなく、組み合わせた際の性能がどう変わったかで判断すべきだ。ある燃料変更が有効だったかを調べるには、比較可能なエンジンと試験条件で性能の変化を確認し、継続運転での信頼性の結果も併せて見る必要がある。70種類の成分、400点のサンプル、200種類のエンジン試験用配合、24万リットルの供給量は、開発投入の異なる段階を記録する数字であり、それ自体が特定の配合による従来比の出力向上量を示すわけではない。

まとめ

アウディとBPが明かした開発規模は、2026年の燃料変更に膨大なエンジン適合作業が伴ったことを示す。サーキットからのフィードバックと、すでに承認された将来の規則変更は、開発が続く理由を説明している。現段階で重視されるのは、燃料、エンジン性能、信頼性をともに改善することだ。ジョリーは、一部の経験が将来、公道用燃料に生かされる可能性にも触れたが、それは技術移転の方向性であり、特集では商用化の時期は示されていない。