Motorsport.comの9月20日の報道によると、エネア・バスティアニーニは、バレンシアでのシーズン末テストより前に、2027年のMotoGPで使われるピレリタイヤを試すことを希望したが、KTMとの話し合いで許可を得られなかった。来年も参戦するライダー全員に、事前に新タイヤを体験する機会を望んでいる。ファビオ・ディ・ジャンアントニオも、各自の準備条件が異なるため、ライダーには共同で要望を表明できる窓口が必要だと述べた。
メーカーを移るバスティアニーニにとって、この問題は特に重要だ。トラックハウスは8月24日の公式発表で、彼が2027年から加入してアプリリアを走らせ、今年のバレンシアテストから新たな段階を始めると確認した。Motorsport.comが伝えた懸念に戻ると、本人は新タイヤとの最初の接触が1日だけとなり、雨が降れば有効な走行時間がさらに減ることを心配している。
ライダーが求める共通の発言窓口
ディ・ジャンアントニオは同報道で、ライダーには統一された組織がなく、それぞれの事情が違うため、相反する立場になることさえあると述べた。練習用マシンの制限によっても準備条件はそろわない。Motorsport.comのこの分析記事は、F1のグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)と比較し、共同代表の仕組みを強める必要性を提起している。
ブルノのテストでは参加者をどう選んだのか
ピレリが6月22日に公表したブルノテストの発表は、すでに行われた準備の具体的な記録となる。一部のレギュラーライダーに開かれたこのテストには5メーカーすべてが参加したが、ライダーを選んだのは各メーカーだった。発表にはアコスタやマルク・マルケスらのレギュラーライダーと、ペドロサらのテストライダーが記載され、バスティアニーニは公表された名簿に含まれていなかった。ピレリは各メーカーに、少なくとも1人のレギュラーライダーと、もう1台の作業を担う1~2人のテストライダーを用意するよう求めたと説明している。
同じ発表によると、各メーカーは2台のマシンを提供し、テスト計画は事前にメーカーとチーム協会IRTAとの間で合意されていた。2台には異なる走行課題を割り当て、タイヤ開発に必要なデータを増やした。一部は2027年の850ccプロトタイプで、ほかは出力を抑えるなど、新しい構成を模擬するよう改修した現行マシンだった。一部のライダーはスプリントのシミュレーションと、決勝の全距離に相当する走行も行った。

Motorsport.comによると、バスティアニーニは、新しい850ccプロトタイプでなくても、1000ccマシンでまずタイヤの感触を得られると考えている。同報道は、離脱するライダーが新型車の情報を持ち出すことへのメーカーの懸念や、新旧タイヤのテストが重ならないようミシュランと調整する必要にも触れている。タイヤを試すという提案には、マシンの仕様とテストの許可も関わっている。
準備経験の違いには、すでに具体例がある。ドゥカティはブレガの残留とMotoGPテストライダー兼任を発表した際、彼がピロとともにピレリタイヤを履くデスモセディチGPの開発に携わり、そのWorldSBK経験を移行に役立つ資源と考えていることを明らかにした。一方、ピレリの2025年9月16日の初回テスト発表では、MotoGPタイヤは最高峰クラス専用の製品となると明記されていた。当時も将来の850cc仕様を可能な限り模擬するため、現行マシンの改修が必要だった。
INKA SPORTS 分析:開発への参加だけでは個々の適応を満たせない理由
現時点の資料によれば、タイヤ開発のためのテストと、全ライダーが初歩的な感覚をつかむ機会は、異なる需要に応えるものだ。ブルノではメーカーごとに参加者を選び、2台に別々の課題を割り当てることで開発のフィードバックを集めやすくしたが、参加しなかったライダーに同じ実体験が得られるわけではない。バスティアニーニは移籍後に新たなアプリリアも知る必要があり、新タイヤとの初対面まで同じ日に集中すれば、限られた時間で2つの変化を同時に理解しなければならない。
したがって、今後の案を評価するには、実際の参加者、利用できる走行時間、マシン仕様を見る必要がある。5メーカーすべてが参加したという情報だけでは、2027年の各ライダーがいつ初めて新タイヤに触れられるかは分からない。最速ラップだけを比べても、開発課題による成果とタイヤに慣れるための収穫は区別できない。ブレガの既存の経験はフィードバックに役立つが、MotoGP専用タイヤと改修されたテスト車両を使う以上、将来の実戦でのパフォーマンスはあらためて検証する必要がある。
まとめ
バスティアニーニとディ・ジャンアントニオの懸念は、新タイヤの開発進捗から、個々のライダーの準備機会へと論点を広げた。ブルノテストには一部のライダーが開発に参加した記録がある一方、まだタイヤを試していないライダーは、バレンシアの前により多くの経験を求めている。今後の計画がそうしたライダーも対象とし、実際に使える走行時間を提供できるかが、この議論で現実の問題を解決できたかを測る具体的な基準となる。