ガブリエル・ボルトレトは9月26日のアゼルバイジャンGPで13番目にフィニッシュしたが、黄旗下でセルジオ・ペレスを抜いたとしてレース後に10秒を加算され、最終的に15位となった。FIAは現場のセーフティカー表示に混乱があったと認めながらも、タイム加算を決めた。争点は、セーフティカーがまだ導入されていない時にドライバーが見た黄旗が、引き続き有効だったかどうかだ。
ターン6から7で食い違った表示
事案が起きたのは、最初のセーフティカー後のリスタート1周目、ターン6から7の間だった。その直前にはターン1でアルピーヌ2台が接触し、ランド・ノリスも巻き込まれていた。FIAの裁定文書第68号によると、当該区間のマーシャルは実物の「SC」ボードと振動黄旗を提示していたが、レースコントロールはその時点でまだセーフティカーを導入していなかった。
ボルトレトはスチュワードに、最初は2つの表示に反応したものの、その後対応する電子表示がなく、ステアリングにもセーフティカーの信号が出ず、チームからもまだ導入されていないと伝えられたと説明した。彼は黄旗を同じセーフティカー表示の一部と解釈し、セーフティカーが出ていないと確認した後は黄旗も適用されないと考え、ペレスを追い抜いた。
スチュワードは、食い違う情報によって判断が明らかに難しくなっていたことを認め、この場面を「セーフティカー中の追い抜き」として違反に問うことはできないとも確認した。しかしボルトレトは黄旗を見たと認めていた。裁定では、振動黄旗自体が独立した指示であり、なぜ提示されたかという自分の判断によって無視することはできないとされた。最終的に、シングルイエローフラッグ下での追い抜きに対する標準的な処分として10秒を加算した。
最終順位とアウディの入賞争い
FIA第71号の最終結果にはこの10秒が反映され、オスカー・ピアストリ、ペレス、ボルトレトが順に13位、14位、15位となっている。ボルトレトは処分の前後とも入賞圏外だった。アウディのもう1人、ニコ・ヒュルケンベルグも11位でフィニッシュし、得点できなかった。

ヒュルケンベルグは終盤に10番手を走っていたが、その後カルロス・サインツに抜かれた。F1公式が掲載したレース後のコメントでは、前のマシン同士の争いで時間を失い、サインツにスリップストリームを与えたと説明した。ウイリアムズはストレートで速く、位置を守るのが難しかったという。この攻防が、アウディがポイントを持ち帰れるかどうかに直接関わった。
ボルトレトのマシン評価には両面があった。新パッケージは中間セクターで良い感触をもたらし、決勝の速さは木曜、金曜より改善していたが、ストレートの速さはなお不足していた。両ドライバーが直線性能の不足を挙げており、ヒュルケンベルグが終盤に位置を守れなかったこととも重なる。
INKA SPORTS 分析:表示の混乱と速度不足がもたらした、異なる損失
この裁定は2つの判断を分けて扱っている。チームによる「セーフティカーは出ていない」という確認は、コース全体がセーフティカー状態かどうかへの答えであり、ターン6から7の局所的な黄旗まで無効かどうかに答えるものではない。ボルトレトは2つの表示を一体のものと捉えたため、前者の状態が否定された際に、後者の指示に従うことも取りやめてしまった。SCボードの誤りが明らかになったことでセーフティカー状態を巡る議論は解決したが、目にした黄旗下で追い抜いた事実が消えたわけではない。
同様に、10秒加算はボルトレトが15位へ変更された理由を説明するが、アウディが無得点だった理由にはならない。彼はフィニッシュ時点ですでにトップ10圏外で、本当にポイントの境目にいたのはヒュルケンベルグだった。両者の直線についてのコメントを合わせると、アウディが中間セクターで感じた新パッケージの改善は、バクーの長いストレートでの攻防に必要な性能までは満たしていない。局所的なドライビングの感触の改善、重要な順位を守れないこと、レース後の処分は、同じ週末に併存し得るが、単純に1つの原因にまとめることはできない。
まとめ
バクーのこの事例は、セーフティカー情報を確認しても、独立した黄旗の指示に従う義務を代替できないことを示している。アウディは異なる証拠からレースを評価する必要がある。処分は追加の順位低下を招き、ヒュルケンベルグとサインツの攻防は入賞順位を守る難しさを示した。ボルトレトによる中間セクターの前向きな評価にも、直線の弱点という制約がある。今回確認できるのはこれらの具体的な問題であり、それだけで新パッケージ全体の効果や次戦の得点能力を断定することはできない。