バクー決勝で12号車のメルセデスを駆るキミ・アントネッリ

キミ・アントネッリは9月26日のアゼルバイジャンGPで16番グリッドから5位まで追い上げたが、それでもバクーを今季ここまでで最も厳しい週末と評した。F1公式インタビューでは、決勝は主に損失を抑えるためのレースだったと説明した。予選のミス後の自信の不足、決して強くなかったレースペース、セーフティカー後のリスタートでの接触によるフロア損傷が、追い上げを制約していた。

十分な準備を欠く中で、予選のミスも重なる

アントネッリの苦戦はプラクティスから始まっていた。技術的な問題で走行が影響を受け、予選Q1ではクラッシュした。それ以前のタイムにより正式にはQ2へ進出したものの、事故で予選を続けることができず、最終的に16番グリッドからスタートした。一方、ジョージ・ラッセルはポールポジションを獲得した。メルセデスのレース後の振り返りは、アントネッリが週末全体を通じて十分な走行距離を得られず、その条件から決勝に臨む必要があったと特に指摘している。

アントネッリはレース後インタビューで、本来あるべき状態に常に一歩遅れている感覚があり、特に予選のミス後は自信が高くなかったと話した。週末の心構えも振り返り、続くマレーシアとシンガポールでは通常の水準を取り戻したいとした。

セーフティカーが追い上げの機会を開き、接触が新たな制約に

チームの振り返りによると、アントネッリはスタート直後には順位を上げられなかったが、その後徐々にトップ10へ入り、セーフティカーが集団の間隔を縮めたことも追い上げを助けた。リスタートではオリバー・ベアマンと接触し、本人によるとフロアに大きな損傷が生じた。前方のより大きな接触は避けたものの、残りのレースを損傷したマシンで走り切らなければならなかった。

終盤、アントネッリはルイス・ハミルトンを抜き、続いてシャルル・ルクレールに迫ったが、追い抜くことはできなかった。FIA第71号の最終結果では、ルクレールは優勝者から14.136秒遅れの4位、アントネッリは14.512秒遅れの5位で、フィニッシュ時の2人の差は0.376秒だった。

バクー予選でメルセデスを駆るキミ・アントネッリ

10点を持ち帰っても、チームメイトには15点を取り戻された

5位でアントネッリは10点を獲得したが、ラッセルはポールから優勝して25点を得た。このレースの得点差は15点となり、アントネッリのチームメイトに対する年間ランキングのリードは、レース前の81点から66点へ縮まった。首位は守ったが、追い上げても同じチームのタイトル争いの相手が勝った代償までは消せなかった。

チームが掲載した別のレース後コメントで、アントネッリは不必要なリスクを取らなかったと説明した。オーバーテイクモードを使うマシンが連なる中では前進が容易ではなく、辛抱強く待ち、機会が訪れた時に順位を狙ったという。スタート位置を考えれば5位は受け入れるべき結果で、この日の課題はできるだけ多くのポイントを持ち帰ることだったとした。

INKA SPORTS 分析:11ポジション上げても「損失を抑えるレース」だった理由

セーフティカーは、本来なら1周ずつ縮める必要があった集団との間隔を一気に圧縮し、アントネッリが再び順位を争う機会を作った。辛抱強く走り、より大きな事故を避け、ハミルトンを抜いたことで、その機会を実際の成果に変えた。したがって、11ポジションを上げたことと、本人が十分な速さはなかったと述べたことは矛盾しない。前者はスタート後に取り戻した結果の評価で、後者はドライビングの状態と前へ進む力の評価だ。損傷を負ってから追い上げを果たしても、準備や予選で払った代償がなくなるわけではない。

ラッセルの同じレースでのポール・トゥ・ウインは、メルセデスにバクーで勝利を争う潜在力があったことを示している。しかし、それだけでは損傷した状態のアントネッリがどれほどの速さを失ったかは分からない。2人の差は、マシンの潜在力、週末の準備、個人の実行という面を分けて評価する必要がある。アントネッリが取り戻すべきなのは、予選と決勝に入る際の通常の準備と自信であり、より有利な位置からレースを始めることだ。再びセーフティカーが出ることだけに頼っても、今回の挽回を安定して再現することはできない。

まとめ

アントネッリはバクーで効果的に損失を抑えた。制約のある条件から5位を持ち帰った一方、プラクティス、予選、リスタートでの接触によって生じた問題は、なお検証する価値がある。今後、通常の水準に戻ったかを判断するには、プラクティスを順調に走り切れるか、予選でマシンの速さを結果にできるか、決勝で継続的に前進できるかを合わせて見る必要があり、最終的に何ポジション戻したかだけでは判断できない。チームに勝利を争う力があることと、ある週末にドライバーがそれを十分に発揮できなかったことは、同時に成り立つ。