2026年10月24日のアメリカGP予選中、メルセデスのガレージ内にいるトト・ウォルフ

10月25日のF1アメリカGPで、アンドレア・キミ・アントネッリはポールポジションから1ストップで優勝した一方、チームメートのジョージ・ラッセルは8位にとどまった。メルセデス代表のトト・ウォルフはアントネッリのこれまでで最高のレースと評したが、チームは同時に、更新後のマシンにはまだ見つけにくいセットアップの適正範囲があると認めた。

1ストップはレースの中で徐々に現実的な選択肢に

FIAのレース後記者会見でアントネッリは、ミディアムでのスタートはすべての選択肢を持つ中で自由に選んだものではないと説明した。新品ソフトが残っておらず、主な選択肢は新品ミディアムとハードだった。ソフトを履いた相手に対し、まずスタートを決め、トラックポジションを守った。

ピット回数を左右したのは、ミディアムの第1スティント終盤の走りだった。本人にも当初は不安があったが、スティントをさらに延ばせた上にペースも持ち直し、コースにとどまることで大きくタイムを失わずに済んだ。チームは早く入った相手に単に追随するのではなく、第1スティントを終えてから、1ストップの方針をさらに確かなものにした。

ハードに換えてからは十分に安定していると感じ、最後まで走れると確信したという。金曜にもハードは使ったが、対応するロングランは行っておらず、レース中はどこまで温存し、どこまで攻められるかをエンジニアと絶えず話し合う必要があった。勝利はこの継続したフィードバックの上に築かれた。

更新は前進も、ラッセルのレースは限界を示す

トラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンはチームのレース後コメントで、金曜は1周の速さもロングランも勝てるようには見えなかったと語った。その後チームは状況を変えたが、アップグレード後は適切な設定範囲がより見つけにくくなったようだという。この「範囲」とは、車両設定がタイヤや路面条件とかみ合い、ドライバーが安定して速さを発揮できる状態を指す。

2026年10月25日のアメリカGP後、メルセデスのチームと優勝を祝うアンドレア・キミ・アントネッリ

アントネッリも更新がすべての点で目標に達したとは説明していない。中高速コーナーでは非常に強く、バランスも良い一方、低速ではフロントタイヤのロックがまだ問題だと考えている。ウォルフは、本人のドライビングスタイルとこのマシンの相性が良いと見ている。

ラッセルの感想はもう一つの側面を示した。1周目にコース外へ出て利益を得たことで5秒ペナルティーを受け、ピットストップ後は速さの改善を感じたものの、ピアストリに追い付いても抜けなかった。レース全体で速さが足りず、原因もまだ分からないと本人は認めた。ペナルティーは順位を失った一因だが、マシンの速さの調査に代わる説明にはならない。

INKA SPORTS分析:重要なのは1ストップの模倣より、条件を適時に見極めること

この勝利から得られる最も有用な点は、メルセデスが当初のタイヤ判断を固定した答えにしなかったことだ。第1スティントを延ばせたことで1回少なく止まる可能性を残し、その後ハードが安定したことで最後まで実行できる条件が整った。勝者が1ストップだったことだけを見れば、戦略を成立させた実際の速さとタイヤのフィードバックを見落とす。

2人の差は「アップグレードが全面的に機能した」という結論にも限界を与える。アントネッリのレースはこのマシンの高い到達点を示す一方、ラッセルの苦戦は同じ走りが2台で安定して再現されていないことを示す。次に確かめるべきは最終順位だけでなく、近い路面条件で2人とも再現性のある設定とロングランの速さを見つけられるかだ。

まとめ

アメリカGPはアップグレードと戦略がかみ合った成功例をメルセデスにもたらすと同時に、低速コーナーと2台の差という課題も残した。アントネッリはチームが用意した機会を勝利へ変えた。この優位を次戦へ持ち込めるかは、新しい条件でも同じように明確な判断を支えるマシンであるかにかかる。アメリカGPのレースレポートと全結果は、当サイトの先行記事でご覧いただける。