2026年10月25日のアメリカGP決勝でサーキット・オブ・ジ・アメリカズを走るアウディ

11番手からスタートし、15番手に落ち、再び11番手へ。ニコ・ヒュルケンベルグはアメリカGPで苦しい追い上げを強いられ、最後もポイント圏外にとどまった。F1公式サイトが10月27日に掲載したレース後の報道には、マシンが数メートル動いてからアンチストールが介入したという本人の説明が記されている。アウディは異常の原因を突き止め、再び後方から追い上げるレースになるのを防ぐ必要がある。

異常はグリッドを離れた後に発生

ヒュルケンベルグは今回を単純に「スタートが悪かった」とは言えないと語った。通常、アンチストールは直ちに介入するが、オースティンでは発進後に起き、音も感触も普段とは違ったという。アンチストールはエンジンの停止を防ぐ保護機能で、今回はその介入が通常の加速を妨げた。レース後の時点で本人も作動原因を把握しておらず、チームは詳しい経緯を調べる必要がある。

アウディは10月25日の公式レースレポートで、このスタートによってヒュルケンベルグが15番手に後退したと確認した。レーシングディレクターのアラン・マクニッシュは、11位まで戻して10位に迫った走りを評価し、結果はドライバーのパフォーマンスを反映していないとした。一方、ヒュルケンベルグ自身は慎重で、正常にスタートできていた場合の結果を断定するのは難しいと語った。

ライバルに近い速さでも、失った順位は取り戻す必要がある

ヒュルケンベルグは周囲、特にレーシングブルズとかなり近いレースペースがあったと見ている。ただ、すでに後方にいる状況では、その程度の速さで損失を急速に取り戻すことは難しい。新品ソフトでスタートし、29周目に新品ハードへ交換して1ストップで走り切った。4つの順位を戻しても、トップ10には届かなかった。

もう1台のアウディは、さらに後方からのレースだった。ガブリエル・ボルトレトはパワーユニット部品交換のペナルティーで最後列からスタートし、13位で終えた。マシンの感触は良く、いくつかのオーバーテイクを決め、接触による損傷も避けられたという。マクニッシュはスタート位置を考えれば13位が現実的に目指せる最善の結果だったと評価した。これはチームによる今回の追い上げへの見方だ。

2026年10月25日のアメリカGP決勝、サーキット・オブ・ジ・アメリカズを背景に走るアウディ

INKA SPORTS分析:速さが並んでも、順位まで取り戻せるとは限らない

両ドライバーとも順位を上げたが、ポイントは獲得できなかった。ボルトレトは後方スタートの不利を、ヒュルケンベルグはスタート時の後退を埋める必要があった。ヒュルケンベルグは15番手から11番手まで戻して、ようやく元のグリッド順位に並んだ。周囲と同程度のペースしかなければ、アウディが追い上げでさらに大きな優位を築き続けるのは難しい。スタートでの後退は順位の変動にとどまらず、本来トップ10を争うために使えたレースの時間を、損失の回復に費やすことになる。

これは単にレースペースが足りない場合とは異なる。ドライバーの感想はアウディが中団争いに加われることを示し、結果はライバルに近いだけでは序盤の損失を毎回埋められないことを示している。正常なスタートは入賞を保証しないが、より前から争いを始め、必要なオーバーテイクを減らすことはできる。オースティンが示した直接的な改善点は、持っている速さをスタート時から生かすことだ。

F1公式サイトの統計にも、あと一歩の走りと得点の隔たりが表れている。直近4回のグランプリでヒュルケンベルグは3度11位となり、ポイントはシンガポールGPの8位による4点だけだった。アウディは現在コンストラクターズ選手権8位で、ハースに7点差をつけられている。11位は無得点であり、何度トップ10に迫っても選手権の差は縮まらない。僅差の走りを安定してトップ10に結び付けてこそ意味がある。

まとめ

オースティンはアウディに二つの異なる材料を残した。ドライバーは中団で戦える一方、ヒュルケンベルグはスタートの異常でまた不利な位置から追い上げることになった。メキシコGPでは、まず正常にスタートし、その時点からポイント争いの集団に残れるかが注目される。アンチストールの異常の具体的な原因は調査待ちであり、作動の経緯を解明することが、より安定したスタートへの次の一歩となる。